生みの苦しみを乗り越えて赤ちゃんと対面した時、まずはじめに行うのが初乳を与える授乳です。
おっぱいに吸い付くのが上手な赤ちゃんもいれば、うまく吸い付けない赤ちゃんもいますが、おっぱいをくわえている姿はとても可愛いですね。
赤ちゃんは一生懸命におっぱいに吸い付きますが、本当に母乳が出ているのか心配になるママは大勢います。
産院では、「産後すぐに母乳がたくさん出る人は少ない」と説明される事が多いですが、それでも体重測定は厳しいです。
吸わせて体重測定をして、体重が増えないと助産師さんから
「ミルクを足して」
の一言。
責められている訳ではないのに、何だか傷ついてしまいますよね。
でも、母乳が出ているのか悩んでいるのは、あなただけではありません。
経産婦さんの声
母乳の事で悩むのは、ほとんどのママが経験する事ですが、なかでも早産児や低体重児のママが多い傾向にあります。
1人目:出生時の体重が2000g
低体重で生まれた子は体も小さく、体力もないので母乳の出が気になります。
出産前に切迫早産のため入院したママで、赤ちゃんの出生時の体重は2000gでした。
保育器に赤ちゃんが入ってしまうと、母子同室に比べて母乳をあげる機会がかなり少なくなります。
母乳は赤ちゃんに吸って貰う事で出るようになりますから、吸う機会が少ないと母乳量も増えず、時間をかけて搾乳しても2ccしか出ませんでした。
2人目:吸う力の弱い赤ちゃん
経験談ですが、37週で2515gの赤ちゃんが誕生しました。
週数も体重も問題がないのですが、赤ちゃんの口がかなり小さく、おっぱいを吸おうとすると上唇と下唇が内側に巻き付いてしまいます。
更におっぱいを舌の上にうまく乗せる事が出来ず、直に吸えないため乳頭保護器を使用しましたが、それでもほとんど吸えず体重が増えません。
母乳もはじめは出るものの量が少なく、ほとんどミルクになってしまいました。
「おっぱいはちゃんと出るの?」は辛い一言
初産婦であっても経産婦であっても、子供を生むと周りから
「おっぱいはちゃんと出てるの?」
と聞かれる事が多々あります。
母乳がしっかりと出ていると自信が持てれば良いのですが、おっぱいにはミルクと違って目盛りがあるわけではないので、実際どの程度赤ちゃんが飲めているのか把握が出来ません。
もちろん、聞いてきた方が悪気もなく聞いてくるのですが、母乳が出ているか不安に感じるママにとっては言葉の刃となります。
「ミルクで育てている」と言うと良い反応はされないので、母乳が出ない事が悪い事だと言われている気さえしてきて、涙を流した事もあります。
母乳はどうやって作られるの?
乳腺という単語を聞いた事があるでしょうか?
乳腺は、母乳を作るための器官で毛細血管に包まれており、血液を取り込みます。
赤ちゃんを出産する事で「プロラクチン」というホルモンが分泌され、乳腺周囲の毛細血管に多くの血液が取り込まれて母乳が作られます。
ママの乳首を赤ちゃんが吸うと、「オキシトシン」と呼ばれるホルモンが分泌され、おっぱいの先端から母乳が出ます。
オキシトシンは愛情を強める作用のあるホルモンだと言われています。
母乳の元は血液ですが、取り込むのは血液中の白血球と栄養分だけで、赤血球は取り込まないため、母乳は赤色ではなく白色なのです。
母乳には免疫成分が豊富に含まれており、栄養バランスも良く「赤ちゃんの完全食」と言われています。
差し乳とは
おっぱいにもタイプがあり、差し乳と溜まり乳では母乳の出方が違います。
差し乳は、授乳後に時間が経ってもおっぱいがあまり張らず、赤ちゃんが飲み始めると張りを感じて母乳が出てきます。
ママの疑問としてよく挙がっているのが、「おっぱいをコクンコクンと飲んでいるけど、おっぱいは出ているのか?」という疑問です。
差し乳は、赤ちゃんがおっぱいに吸い付いてから急ピッチで母乳が作られるため、一口あたりの母乳量もそれほど多くならず、「ゴクゴク」という音はあまりしません。
「ゴクゴクと飲み込む音がしないから、母乳が出ていないのかな?」と心配するママもいますが、音がしなくても大丈夫です。
溜まり乳とは
溜まり乳は、赤ちゃんが吸い付いている、いないに関わらず、いつもおっぱいが張っていたり、乳房内に母乳が溜まっていたりするタイプです。
このタイプのおっぱいは、赤ちゃんが吸い付くと「待ってました!」とばかりに母乳が出てきます。
一口あたりの母乳量も多くなりやすいため、「ゴクンゴクン」という音が聞こえる事があります。
両方とも差し乳か溜まり乳であったり、片方だけ別のタイプのおっぱいだったりする事もあります。
どちらのタイプも、赤ちゃんに吸われない状態が続くと新しい母乳が作られなくなってきます。
母乳の出方は人それぞれ
初産婦さんは、授乳から一定時間経つとおっぱいが張ってきて、熱を持って固くなってしまう事があります。
下着に母乳が滲む事もあり、母乳パッドをつけながら授乳を行っているママが多いですね。
おっぱいの張り方も、母乳の滲む具合も個人差がかなり大きいのですが、おっぱいの事はほかの人に聞きにくく、悩みの共有が難しい傾向にあります。
そのため、母乳の事で悩んでいる人が多い事に気付きにくいのです。
産後のママは特に気持ちが不安定になりがちです。
周りの人のささいな一言に一喜一憂してしまう事もあります。
でも、ママの悲しい気持ちは赤ちゃんにも伝わってしまいます。
産後ずっと母乳の量が足りずに悩んでいて、数か月頑張ったら完母になったというママもいます。
諦めない事は大切です。
肩の力を抜く事も大切です。
一番大切なのは、楽しみながら子育てができること、だと思います。